PLGとSLGの狭間で考えること
microCMSは長いことPLGベースで成長してきた。
ほぼ口コミだけでここまで伸ばすことができたのは素晴らしいことだと思う。
より高角度な成長を目指すために、まずは創業者2人が中心となってセールスに力を入れ始めている。
色々と試していくうちで分かってきたことがある。
PLGで得た情報をSLGに活用する
microCMSというサービスの特性上、PLGとSLGでターゲットが異なると考えている。
分かりやすく二分すると、PLGはエンジニア向け、SLGは非エンジニア向けだ。
上記のような図でPLGとSLGの違いが紹介されることも多い。
そのためPLGとSLGはまったくの別物と捉えていたが、実はPLGをやっているがゆえの、SLGでは生まれないタッチポイントが存在するということに気づいた。
「アカウント登録」である。
通常のSLGでは商談後あるいは契約後にプロダクトを触れるようになるが、PLGではその前から触ることができる。
であれば、次のようなファネルとして考えることができる。
フェーズ | 母数(適当) | 成約率(適当) |
---|---|---|
サービスについて全く知らない | 100,000 | 0.05% |
サービスのことを知っている | 5,000 | 1% |
サービスに興味がある | 1,000 | 2% |
サービスにアカウント登録している | 100 | 4% |
資料請求したことがある | 50 | 8% |
商談したことがある | 30 | 50% |
下に行くほど母数は減り、成約率は高まり、タッチポイントも増える。
母数が少ない=そのフェーズでの売上の上限値に到達しやすいと考えられる。
なので、母数の底上げをするために流入を増やしたくなってしまうが、、、
一方で「サービスについて全く知らない人」と「すでにアカウント登録している人」にEnterpriseを契約してもらうのは売上としては一緒である。
であれば、母数を使い切るまで成約率が高い方で攻めた方が効率は良い。
(ちなみに母数といっても、このファネルの中の人たちは流動するので、翌月になれば数は復活するイメージ。)
仮にセールス担当が1件1件当たっていくとしたら、「サービスについて全く知らない」層の成約率0.05%では2,000件当たらないと1件取れない。効率が悪すぎる。
そこはいきなり成約を目指すのではなく、次の「サービスのことを知っている」フェーズにつれていくためのマーケティングやナーチャリングをしていくべきという話だろう。
(THE MODELにたどり着いた)
あるいは限りなく課題の解像度が高いのであれば、100,000人の中からばっちり刺さりそうなセグメントを抽出して、ABM(Account Based Marketing)で攻めることもできる。
とまぁ、身をもって体験することで一般的にセールスで言われる戦略の解像度が高まった感じ。
最近はPLGの恩恵である「アカウント登録」という情報をうまく活用できないか模索中。
プラン設計とプロフェッショナルサービス
PLGで入ってくるユーザーは自身のやりたいこととプラン情報を照らし合わせて、最適なプランを選んでいく。
なので、基本的には要求を満たす最低限のプランに落ち着く。
それはユーザーにとっては最もコスパが良いので、納得感も高い。
ここはプラン設計がしっかりしていないと、プロダクト側が損してしまう。
プロダクト価値を損なうことなく価格に反映できているかが重要。
SLGではプロダクトの価値に加えて、プロフェッショナルサービスの価値も乗せて、より上位のプランを獲得しにいくイメージ。
PLGとSLGの境をどこに置くのかも、かなり大きなポイントだと感じる。
microCMSでいうとセルフサーブでも15万円のプランは普通に売れていくので、それはとても素晴らしいことなのだが、一方で100万円で売れるかもしれなかったものも15万円で売れてしまう。
それを実現するためにはしっかりと商談を行い、プロフェッショナルサービスによる付加価値が必要という認識でいる。
まとめ
PLGで得た要素をSLGにも活用できないかという話を書いた。
ちなみにPLGとSLGはグラデーションっぽいな〜と思い、同じこと考えている人いるかな〜とその単語の通り検索してみたら、ちょうど先月そんな感じの記事が出ていた・・・!
この記事には次のように書いてあった。
「PLG+エンタープライズセールス」の組み合わせはやはり強いですね。リードを活かすという観点で、PLGで始めてビジネスが軌道にのったのち、エンタープライズセールスなどSLGを始めるというステップは比較的チャレンジしやすいはず。ビジネスの成長を加速させる鍵となるのではないでしょうか。
まさしくこれだなぁと思ったので、その流れで成長を加速させていきたい。