結局市場シェアを取ることが重要
バイロン・シャープ著の「ブランディングの科学」を読んだ。従来のマーケティング理論や常識を検証し、新しい視点からマーケティングやブランディングの真実を伝えている。
率直な感想としては、マーケティングやブランディングの戦略なんてものは当てにならないという話なのかもしれない。結局は市場を最も占めたところがブランディングの勝者になる。
ダブルジョパティの法則
マーケットシェアが低いブランドは購買客数も非常に少ない。
また、これらの購買客は行動的ロイヤルティも態度的ロイヤルティも低い。
顧客を失わないブランドはない。その損失はマーケットシェアと比例する。
大きなブランドほど多くの顧客を失うが、その損失は顧客基盤全体と比較すると小さい。
感覚的には分かる。
シェアが伸びるほど解約も増えるが、割合はそこまで変わらないため、全体から見るとたいしたことはない。
パレートの法則
売上の80%はブランド購買客の上位20%からもたらされるという法則。しかし、実際の比率は80/20ほど極端ではない。
例えばガソリンは大多数の人が満遍なく買うため、パレートシェアもそれほど極端な値を示さない。
日用品ブランドの3ヶ月間のパレートシェアは35%。1年間では50%を超えるが、通常であれば50%を大きく超えることはなく、80%に達することは滅多にない。
パレートシェアが幻想なのであれば、売上の半分を占めているライトユーザーを無視するわけにはいかない。
ヘビーユーザーはライトユーザーに、ライトユーザーはヘビーユーザーに変化する。これを購買行動適正化の法則という。平均への回帰が起こる。
自然独占の法則
ブランドは大きくなるほど顧客基盤にライトユーザーが占める割合が大きくなる傾向がある。
ライトユーザーのように商品を頻繁に購入しない消費者はより大きなブランドを好む。
これはシェア1位がよりシェアを伸ばしやすい要因と言える。
NBD(負の二項分布)ディリクレモデル
この数理モデルを使ってブランドの選択率と高倍率を予測することができる。人は誰でも自分なりの好みを持ち自分好みの特定のブランドを買う傾向がある。
小規模ブランドは大規模ブランドの行動に大きく影響されるが、その逆が起きることは少ない。
例えば、小規模ブランドを置いている店舗には必ず大規模ブランドも置かれているが、その逆が起きるとは限らない。
ということは、もし大規模ブランドが販促を実施すれば、すべての小規模ブランドに影響が及ぶということだ。
一方、小規模ブランドが販促を実施しても、それが大規模ブランドに及ぼす影響は、双方の販売エリアが重複するところだけである。
まとめ
結構難しい話も多かったが、要は何をするにもマーケティングにおいては市場シェアを取っている方が有利であるということ。
どの会社もマーケティングは行なっているため、マーケティングの力だけで市場シェアをひっくり返すことは並大抵ではない。
マーケティングにおいてはターゲットを重視しがちだが、むしろライトユーザーに目を向けてとにかく広く全方位に認知を増やすことが大事ということ。
これらを踏まえると、売上は後回しでまずはシェアを取りにいく策の重要性も分かる。