起業と家庭の両立
「成功者の告白」を読んだ。
ここ最近で一番感銘を受けた本かもしれない。
年末年始あたりで読んだので、忘れないうちにメモしておこう。
これは仕事と家庭が実は密接に結びついているという本だ。
基本的に起業家については輝かしい部分しか焦点が当てられないが、本書ではその裏にあるダークな世界を鮮明に描いている。
プロローグにあるよく聞く出来事
- 成功の頂点で大事件に巻き込まれたり、病気になったり。さらには急死も。
- 脚光を浴び、マスコミにもてはやされるなか、家族が事故や病気に。
- 成功者として本を出版したとたん、会社の業績が急降下。
- カリスマ経営者の家庭は破綻。夫婦別居で、愛人がそこらじゅうに。
- 投機で巨額な利益をあげたものの、事故や病気で若死に。
これらは正直7年会社をやっていて分からんでもないと思う。
成功することで、よりリスクの高いことに挑戦したり、逆に気が緩んでいたりすると死の危険が高まるという話ではなかろうか。
起業家の家庭が破綻しているというのは本当によく聞く話だ。
家庭を顧みないというのはある意味仕方ない部分もあるとは思う。
従業員の人数分の人生を背負っているわけだから・・・。
最初は応援してくれていた奥さんも、徐々に会社が軌道に乗るにつれ、応援してくれなくなるという現象はウチにも起きていて、正直言って謎だと思っていたのだけど、一般的にそうなるケースが多いという話は面白かった。
おそらくあまり期待を持ちたくないということなんだと思う。期待が高まったところからどん底に落とされるのは怖いから。
起業と家庭
自分は2人目の子供が産まれたのとほぼ同時に起業している。
周囲からは「バカなの?」と思われていただろう。が、なぜか自分にはイケるという自信があった。
奥さんから軽い反対はあったが、「給料は前職を維持する。上手くいかなかったら辞める。」という条件で半ば押し切る形で起業することになった。
自分的には大成功を目指すというよりは、好きなものを作って、それなりのお金を稼いで自由に暮らしたいというニュアンスが強かった気がする。
それもあり、仕事はかなりライフスタイル重視で働いていた。
起業といったら休みなく、寝食忘れて働くというイメージもあるだろうが、ウチの場合は18時には帰宅するというスタイルでやっていた。
給料も前職維持のため、バーンレートは一般的なスタートアップの2倍くらいはあった。
そんなスタイルで最初から上手くいくわけはなく、資金も2度ほど尽きそうになったが色んな運が重なった結果、今の状況まで来ることができた。
途中からはコロナ禍になり、フルリモートで働くことになったため、家庭面もかなりサポートできたとは思っている。
なので、妻からのヘイトについては、一般的な起業家における配偶者からのヘイトほどは溜まっていないとは思うのだけど・・・どうなんだろうか。
いざ、成功したとしても、その成功を喜んでくれる家族がいないというのは悲しいと思う。
実際にそんな状況であれば、家族以外にお金を費やすことになり、さらに家庭崩壊が進んでしまうことは容易に想像できる。
何のために起業するのか?
ここは「家族のため」という人はほぼいないのではなかろうか。
なぜなら大成功までの道のりは遠すぎて、「家族のため」の手段としてはもっと良い選択肢があるであろうからだ。
「家族のために大金を稼ぎたい」というよりは「家族のために柔軟なライフスタイルを手に入れたい」というニュアンスでの起業はあるだろう。
これはフリーランスなどと近い動機かと思う。
ビジネスの成長プロセスと家庭環境の変化
本書では下記のような4つの段階で描かれている。
- 成功に向かって、一歩を踏み出し始める。この時期は、仕事はつらく、家庭は円満。
- 成功に向かって見事、離陸。この時期は仕事は好調、家庭で歪みが出はじめる。歪みは家庭のいちばん弱いところ、とりわけ子供を通じて現れはじめる。
- 成功の最終目標への分かれ目。この時期は仕事は好調だが、人間関係で問題が勃発。家庭は、お互い期待をしないことでバランスを取る諦めムード。
- 仕事と家庭のバランスの回復。仕事においては人を指導する立場への脱皮。家庭においては主導権争いから相互依存への進歩。
家庭的には2, 3の段階で注意が必要なので、それを頭の片隅に置いておくだけでも悲劇は避けられそうな気がする。
気をつけて何とかなる問題なのか分からないが・・・
ただ、仕事の成功と家庭の成功がトレードオフというのは悲しいので、両立したいものだ。